
目次
一般社団法人の役員報酬について理解しておきましょう
今回は、一般社団法人の『役員報酬』について解説します。
役員報酬について理解しておかないと、一般社団法人を運営することはできません。
一般社団法人の設立時には、役員報酬についてしっかりと計画しておきましょう。
当事務所では福岡県にて一般社団法人設立のサポートをしております。
お気軽にご相談ください。
詳しくはこちら➡︎『一般社団法人設立 代行』
役員報酬とは
役員報酬とは、『法人の役員』に対して、『職務執行の対価』として支払われる報酬のことです。
役員報酬は「従業員に支払う給与」とは根拠法が違いますので、取り扱いが異なります。
ですので、役員報酬特有のポイントを押さえておく必要があります。
一般社団法人の役員とは
一般社団法人の役員は以下の者となります。
・理事
・監事
理事や監事に支払う報酬のことを役員報酬といいます。
役員報酬は支払ってもよい?
そもそも一般社団法人では役員報酬を支払ってもよいのでしょうか?
はい、一般社団法人の場合でも、『職務執行の対価』として役員報酬を支払うことができます。
逆に、役員報酬なしでもかまいません。
一般社団法人というと『ボランティア団体』といったイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、利益をあげたり、報酬を支払うことは株式会社等と同じく可能です。
ただし、『利益を分配すること』はできません。(ですので、原則「社員(従業員とは違います)」には報酬を支払うことはできません。)
※利益の分配について詳しくはこちら➡︎『一般社団法人の非営利型とは?詳しく解説』
役員報酬の決め方
理事の役員報酬の決め方
理事の報酬は、『社員総会』で決めることが一般的です。
定款にて直接定めることも可能ですが、定款変更が必要となるため、この方法を取ることはあまりないでしょう。
社員総会では、『理事に支払う役員報酬の総額』を決議すれば問題ありません。
各理事へ支払う具体的な金額については、社員総会にて決議する必要はなく、理事会や特定の理事に決定を一任できます。(定款に定める場合も同様)
監事の役員報酬の決め方
監事の報酬も、理事同様に『社員総会』で決めることが一般的です。
定款で定めることも可能ですが、あまりしない手法です。
理事同様に社員総会で『役員報酬の総額』を決定します。
各監事への具体的な報酬は、監事の協議によって定めます。
なお社員総会では、理事の報酬とは別の議題として決議する必要があります。
役員報酬の注意点
税務上の注意点
役員報酬は税務面において注意点があります。
それは、役員報酬を『損金』とするには、『定期同額給付』とする必要があるという点です。
『定期同額給付』とは、1年間毎月同じ時期に同じ額を給付する、とイメージしてもらえれば大丈夫です。
『損金』という言葉についてですが、損金とは『法人における税務上の経費』のことです。
法人の税務上では、税金計算で収入から差し引ける経費のことを『損金』といいます。
前提の話として『会計』と『税務』は別物という認識が必要になります。
『会計』とは簡単にいうと会社の財政状態を正しく把握するためのものです。
一方『税務』とは、税金を公正に納めるためのものです。
一見、同じもののように感じますが、『会計上は経費』でも『税務上では経費とならない』ものがいくつかあります。
そのひとつが『役員報酬』です。
役員報酬は条件を満たさないと、全額損金と認められず、税金を減らすことができません。
もし役員報酬を自由に設定できて、全額損金として認めてしまうと、法人税を不当に減らすことができてしまいます。
「今年度は利益が沢山出ているので税金が高そうだ。よし、事業年度の残りの期間の役員報酬(自分たちへの報酬)を増やして、税金を少なくしよう。」ということ等を防ぐためです。
そのため、役員報酬は毎月同じ額を支給しないと全額損金とならない、というルールになっています。(金額を改定する場合は、原則事業年度開始3ヶ月以内に行います。それ以外の時期に変えた場合は、例外はありますが、損金とならない金額が生じてきます。)
「それじゃ、役員へのボーナスは損金にはならないの?」と思われるかもしれません。
原則、役員への賞与(ボーナス)は損金にできません。
ですが、1年間のボーナスの支払い時期と金額を事前に税務署に届出しておけば、ボーナスも損金とできます。
ただ、事前に金額を確定しておく必要がありますので、ボーナス本来の意味(儲かったから、その分を支給する)とは、意味合いが異なってきます。
ですので、実態としては1年間の給与を毎月支給で割るか、ボーナス+毎月支給で割るかの違いしかありません。(結局総額は変わりません。)
ただし、「気分的にボーナスというものが欲しい」場合や、「家族の手前、ボーナスというものが欲しい」場合などは、事前に届け出てボーナスを支給しても良いかと思います。
また、無報酬の非常勤役員に対して、社員総会や理事会出席の謝礼を事前に届け出ておくというケースもあるでしょう。
実際の役員報酬をいくらにするか等は、専門性が高くなるため、税理士に相談したほうがよいでしょう。
役員報酬を確実に損金とするには、顧問税理士をつけた方が安心です。
非営利型での注意点
また、非営利型を選択している場合は、役員報酬の金額にも注意が必要です。
※非営利型について詳しくはこちら➡︎『一般社団法人の非営利型とは?詳しく解説』
もし、役員報酬が『過大』だと判断されてしまった場合は、非営利型の一般社団法人とは認められず、その法人は2度と非営利型になることはできません。(普通型の一般社団法人となります。)
ですので、役員報酬の金額には注意が必要です。
なにをもって『過大』と判断するかは、非常に難しいところですので、一般社団法人に詳しい税理士に相談する必要があります。
まとめ
以上、一般社団法人の『役員報酬』について見てきました。
役員報酬は法人運営の基本ですが、初めての法人運営では知らないことも多いものです。
しっかりと予習して、一般社団法人を計画的に設立させましょう。
当事務所では福岡県にて一般社団法人設立のサポートをしております。
お気軽にご相談ください。
詳しくはこちら➡︎『一般社団法人設立 代行』


