
目次
福岡市の特定創業支援について解説
今回は、福岡市の特定創業支援について解説します。
特定創業支援では、会社を設立する際の登録免許税の減額ができますが、いざ福岡市のHPを確認してみると、「なんだかよく分からない・・・」と思うかもしれません。
そこで当ページでは「分かりやすく」をテーマに福岡市の特定創業支援について解説していきます。
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特定創業支援とは
特定創業支援(特定創業支援等事業)とは、創業時に受けられるセミナーや面談のことで、この面談等を受けることで『いくつかのメリット』があるという支援事業です。
特定創業支援のメリット
メリットには以下のようなものがあります。
特定創業支援のメリット
①会社設立時の登録免許税半額軽減
②創業関連保証の利用開始月前倒し
③日本政策金融公庫新規開業・スタートアップ支援資金
簡単にいうと①は会社設立時の手数料の減税。
②③は融資に関するメリットです。
おそらく特定創業支援を受けようとする人のほとんどが①が目的だと思います。
ですので①の登録免許税軽減について解説していきます。
登録免許税半額軽減
会社を設立する際は、法務局に設立の登記をします。
登記することで会社が国に登録され、法的に会社を設立したことになります。
この設立登記の際に、法務局に支払う手数料が登録免許税です。
株式会社の場合は15万円〜、合同会社の場合は6万円〜の登録免許税がかかり、なかなか高額な費用となっております。
(資本金の額によって登録免許税は増額しますので、上記は最低金額となります。)
この登録免許税を『半額』にできるのが、特定創業支援です。
※半額軽減となるのは株式会社か合同会社で、一般社団法人等は対象外です。
「え、全額減らせるって聞いたんだけど?」と思われた方もいらっしゃると思います。
たしかに全額減らせる可能性があるのですが、ここが制度の分かりにくい点となっています。
全額減らせるというのは、正確には『半額減らせて、半額は戻ってくるかも』ということになります。
半額減らせるのは『特定創業支援等事業』となります。
半額戻ってくるのは『福岡市新規創業促進補助金』という福岡市の補助金で、正確には特定創業支援とは別物となり、この2つを組み合わせることで、登録免許税全額を負担なく登記できる可能性があります。
補助金の方は予算がありますので、予算がなくなれば利用することはできません。
『福岡市新規創業促進補助金』については後ほど解説します。
登録免許税半額軽減の対象者
半額減税を受けられる対象者は以下の者です。
登録免許税半額軽減の対象者
・これから初めて事業を営む個人
・個人事業開始から5年を経過してない個人事業主
(注)会社法上の発起人かつ会社の代表者となり会社を設立しようとする個人が証明を受ける必要があります。
初めて創業する方や、個人事業主から法人成りする方が対象となります。
会社設立時の登録免許税の軽減ですので、当然の対象者となりますが、すでに個人事業主として事業をしている方は、事業開始より5年を経過していないことが求められます。
事業開始日は開業届で判断されるものと推測されます。
また、福岡市でこの特定創業支援を受けるには、設立する会社の本店所在地が福岡市内にあることが求められます。
福岡市以外に本店を置く場合には、その自治体で特定創業支援を受けましょう。
ただし、福岡市外の場合は「半額戻ってくる補助金がない」場合がありますので、注意しましょう。
なお、特定創業支援自体の対象者は以下のようになっておりますが、登録免許税半額軽減の対象者は上記のとおりです。
(1)現在事業を営んでいない個人でこれから創業を行おうとする者
(2)(1)の創業から5年以内の個人または法人
(注)2社目以降の創業となる方、事業承継した2代目代表等となる方は、証明書の発行対象外です。(注)法人設立前に個人事業主として活動していた法人の代表者は、個人事業の開業日から5年を経過していなければ証明書の発行を受けることができます。
(注)特定創業支援等事業は、法人であれば代表者かつ発起人が受講する必要があります。
出典:福岡市HP
特定創業支援を受けるタイミング
登録免許税半額軽減のメリットを受けるためには、支援を受けるタイミングが重要です。
登録免許税半額軽減を受けるには、会社を登記する前に、特定創業支援を受けたことの証明書を取得する必要があります。
登記の際にその証明書を添付することで、登録免許税を半額とすることができるためです。
ですので、会社を登記したあとに特定創業支援を受けても、登録免許税は返ってきません。
また、もう1点注意したいのは、『特定創業支援を1ヶ月以上にわたって受ける』必要があるということです。
特定創業支援とはセミナーや面談と先述しましたが、最初のセミナー等から最後のセミナー等の期間が1ヶ月以上であることが求めれらています。
例えば1時間の個人面談を4回受けなければいけない場合、この最初と最後の面談の期間が1ヶ月以上空いている必要があります。
ですので、急いで会社を設立したい場合には注意が必要です。
また、特定創業支援の申込や証明書の発行などに時間を要する可能性もあるので、支援スケジュールと、会社設立スケジュールをしっかりと擦り合わせておく必要があります。
以下は、特定創業支援を受けて、登録免許税半額軽減を受けるための流れになります。
スケジュール感を把握しておきましょう。
(1)特定創業支援の事業者へ直接連絡し、受講希望を伝える。
(2)支援を1か月以上にわたって受ける。
(3)証明書の発行申請をする。
(4)証明書を受け取る(発行申請から1週間後程度目安)。
(5)証明書を登記窓口に提出して、手続きを行う。
証明書の発行申請をしてから実際に発行されるまでは、1週間程度の目安となっていますので、こちらも注意しましょう。
特定創業支援の受け方
特定創業支援を受けるには『創業支援等事業者』に連絡し、支援を申し込むことで受けることができます。
『創業支援等事業者』という事業者が複数いますので、その中からどこかを選んで受けることになります。
ですので福岡市が直接セミナー等を開くわけではなく、複数の選択肢から選んで支援を受けることになります。
『創業支援等事業者』は「福岡市HP」の「6 福岡市で行っている特定創業支援等事業」から選択します。
支援を受けるのに「無料」の事業者と、「有料」の事業者がいますので、よく確認してから選択しましょう。
また「対象者」もそれぞれですので、注意が必要です。
無料で間口が広いのは『スタートアップ応援ネットワークFUKUOKA(スタートアップカフェ)』となります。
証明書の発行のやり方
1ヶ月以上の期間で特定創業支援を受けたら、次は証明書の発行手続きとなります。
具体的な発行手続き方法は「福岡市HP」に記載されています。
必要書類として
① 本人確認書類(運転免許証等)の写し
②申請書
③チェックシート
が必要となります。
申請方法は窓口またはオンラインです。
申請の際は証明書1枚当たり300円の手数料がかかります。
証明書を郵送で受け取ることも可能です。
※別途郵送代がかかります。(普通郵便の場合:110円 簡易書留の場合:460円)
窓口申請の場合は、事前予約が必要となるので注意しましょう。
特に難しい点はないですが、分からない場合は福岡市 経済観光文化局 創業推進部 創業支援課に問い合わせるとよいでしょう。
福岡市新規創業促進補助金
次に先述した『登録免許税のもう半額が戻ってくる補助金』について解説します。
この補助金に申請すると、登録免許税のもう半額が設立後に戻ってきます。
※補助金ですので毎年度あるとは限りません。その都度確認をお願いします。
ただし、補助金の金額は一律で決まっています。
・株式会社 75,000円
・合同会社 30,000円
となっています。
ですので、資本金の額が大きくて登録免許税が増額している場合は、半額に届かないことになります。
詳しく見ていきましょう。
福岡市新規創業促進補助金の対象者
この補助金の対象者は以下の者となります。
(1)事業を営んでいない個人又は開業届の提出日から5年を経過していない個人事業主。
(2)福岡市より特定創業支援等事業の受講の証明を受けた方。
(3)福岡市の特定創業支援等事業の証明書を活用し登録免許税半額軽減を受けて新たに会社を設立する方。
(4)新たに設立する会社の本社が福岡市内の方。
(5)新たに設立する会社以外に、経営に携わっている会社がない方。
(6)暴力団または暴力団員と密接な関係を有する者でない方。
(7)福岡市の市税及び延滞金等を滞納していない方。
簡単にいうと、『福岡市の特定創業支援を受けて、登録免許税の半額軽減を受けた人』ということです。
税金滞納がないかは注意しておきましょう。
また、対象となる会社は『株式会社』『合同会社』のどちらかです。
一般社団法人等は対象外となります。
申請するタイミング
この補助金も申請するタイミングが重要です。
申請するタイミングは『特定創業支援等事業の受講終了後』から『登記申請するまで』の間です。
この間に、補助金申請をする必要あります。
タイミングとしては、特定創業支援の受講証明書の発行手続きと同じというイメージです。
補助金申請後、対象者となるかの調査が行われますので、申請には受講証明書を添付する必要はありません。
その後、問題がなければ交付決定通知が郵送され、補助対象者となります。
この交付決定通知が来る前に登記することは可能です。
ただし、補助金申請自体は登記前にしなければいけません。
実績報告
次に、登記終了後は『実績報告』という手続きが必要になります。
実際に登記したことを報告するのですが、登記終了後、60日以内必着で提出が必要です。
※年度末が近い場合は3月31日までに提出(必着)。
提出書類は以下のものとなります。
・補助対象事業実績報告書
・設立した会社の履歴事項全部証明書(コピー可)
・登録免許税の支出を証する書類(コピー可)
支出を証明する書類は印紙の領収書、金融機関利用明細、電子納付情報画面などです。
必ず保管しておきましょう。
司法書士等の代理人が登記手続きをした場合は、委任状の提出も必要となります。
委任状の様式は福岡市HPの福岡市新規創業促進補助金ページからダウンロードできます。
請求書
実績報告後、問題がなければ『補助金確定通知』が発行されます。
『補助金確定通知』が発行されたら、『請求書』を提出します。
請求書は公式HPに様式があります。
請求書を提出後、振込で補助金が支払われます。
福岡市新規創業促進補助金の注意点
注意点として、補助金ですので予算があります。
予算がなくなってしまうと、補助はありませんので注意しましょう。
また、年度ごとに予算が組まれますので、会社の設立年度に本補助金があるかは確認しておきましょう。
会社設立のタイミングが3〜4月あたりと年度を跨ぎそうなタイミングの場合は、どのような対応を取ったらよいかを、福岡市の担当課(経済観光文化局 創業推進部 創業支援課)に確認しておきましょう。
まとめ
以上、福岡市の特定創業支援について見てきました。
登録免許税を節約するためには本制度を活用する必要がありますが、減額と補助金の2つに別れているなど、少し分かりにくい面もあります。
構造を理解すれば、それほど難しい話ではありませんので、制度を活用して会社を設立しましょう。
当事務所では福岡県にて法人設立のサポートをしております。
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