一般社団法人の基金制度について解説します

今回は、一般社団法人の『基金制度』について解説します。
一般社団法人には、『基金』という資金調達制度があります。
基金制度の注意点を事前に確認して、一般社団法人の運営をスムーズに行なっていきましょう。

当事務所では福岡県にて一般社団法人設立のサポートをしております。
お気軽にご相談ください。

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基金制度とは

一般社団法人の基金制度とは、簡単にいうと『資金調達制度』です。

一般社団法人内外の人物から、お金や物品などを提供してもらい、法人の運営資金等とすることができます。

法人の活動やプロジェクト等に賛同してくれる人達などから、資金を調達できる制度ですので、うまく活用できれば一般社団法人の運営に大きく役立つものとなります。
基金制度は任意制度ですので、メリットデメリットを理解して設置するかを判断しましょう。

「資金を調達できるなら設置したい!」と思われる方も多いとは思いますが、基金制度には注意点もいくつかあります。
以下、注意点について解説していきます。

基金制度の注意点

一般社団法人の基金制度には以下のような注意点があります。
ひとつずつ見ていきましょう。

基金の注意点

・返還義務がある。
・定款の定めが必要。
・制度が複雑。

返還義務がある

基金には原則返還義務があります。
「え、ということは借金と同じ?」と思われるかもしれません。
借金と全く同じではありませんが、基金は完全に法人の資産となるわけではありません。

基金を返還するタイミング

基金を返還するタイミングは、当事者間の合意で決まります。
例えば「〇〇年〇〇月〇〇日まで返還しない」や「法人の解散時まで返還しない」などです。

また、借金とは違い利息はつきませんので、拠出してもらった金額と同額を返還することになります。

基金の返還方法

実際の基金の返還には、定時社員総会の決議が必要です。

また、貸借対照表の純資産額が基金の総額を超えている場合、その超えている金額を限度として返還することができます。

さらに『代替基金』として、返還する基金に相当する金額を計上しなければいけません。
(そのようなお金があるなら、そもそも基金を募集していない気もしますが・・・)

だんだん分からなくなってきたかもしれませんが、このように返還といっても一筋縄ではいきません。
基金の返還については、一般社団法人に詳しい税理士に相談することをお勧めします。

とりあえず『基金は原則返還が必要』という認識は持っておきましょう。

定款の定めが必要

基金制度を設置するには、定款に基金に関する定めを記載しなければいけません。
ですので、基金制度を設置する場合は、社員総会を開いて定款変更の特別決議が必要となります。

一般社団法人設立時の定款作成時に、将来的な基金制度設置を見込んで定款に定めを入れておくこともできます。
ただし、一度基金制度を設置すると廃止することはできないため、注意しましょう。

一方、基金制度は登記事項ではないため、設置したからといって登記する必要はありません。

制度が複雑

次に基金制度は複雑であるという問題があります。
これまで見てきたように、返還の複雑さや、定款変更など手続きが煩雑になります。
また、金銭でない物品等で財産を拠出する際は、さらに複雑さが増します。

基金を実際に募集する際も、規定されている手続きがありますので、「基金は手間がかかるな」と感じるかもしれません。

基金のメリット

次に基金制度のメリットを見ていきましょう。
基金には以下のようなメリットがあるといえます。

基金のメリット

・誰でも拠出することが可能。
・使い道が自由。
・登記は不要。

基金を拠出する人に制限はありません。
社内外の多くの人から、財産の拠出を受けることができます。

また、基金の使途には制限がありませんので、法人の資金として自由に使用することができます。
ただし、「〇〇プロジェクト基金」など、特定の目的を持った基金であれば、その目的のために使用することが大切です。

最後に、先述したとおり登記は不要です。

まとめ

以上、一般社団法人の基金制度について見てきました。
資金調達制度ですので、一見素晴らしい制度のようにも感じますが、注意すべき点も多く、なかなか難しい制度といえます。
手続きの煩雑さから実際に採用する一般社団法人はあまり多くはないのが現状です。
ある程度規模の大きな一般社団法人であれば、基金制度を活用するのも一つの手といえるでしょう。

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