
一般社団法人を作るメリットとデメリットを解説
今回は、一般社団法人のメリット・デメリットについて解説していきます。
株式会社や合同会社、NPO法人と比較しながら、メリットデメリットを確認し、どのような法人が自分の目的に適しているかを確認していきましょう。
当事務所では福岡県にて一般社団法人設立のサポートをしております。
お気軽にご相談ください。
➡︎『一般社団法人設立 代行』
一般社団法人のメリット
一般社団法人のメリットですが、「株式会社と合同会社」に対して、「NPO法人」に対して、「非法人(任意団体)」に対しての3パターンで見ていきます。
まずは、『株式会社と合同会社』に対してですが、以下のようなメリットがあります。
- 設立資本金が必要ない
- 設立手数料が安い
- 税金面の優遇
- 公益性というイメージがある
次に『NPO法人』に対してですが、以下のようなメリットがあります。
- 事業内容に制限がない
- 行政への報告義務がない
- 少人数で設立が可能
最後に『非法人(任意団体)』に対してですが、以下のようなメリットがあります。
- 法人名義で活動できる
- 相続問題に対処しやすい
株式会社、合同会社に対するメリット
設立資本金が必要ない
一般社団法人の場合は、株式会社や合同会社と違い、設立に際し資本金は不要です。
ただ株式会社や合同会社でも、資本金は1円以上あれば設立自体は可能です。
しかし実際にはそのような会社は信用されませんので、最低でも数十万の資本金は欲しいところです。
その点、一般社団法人は資本金は不要ですので、対外的な信用度で資本金を用意する必要はありません。
ただし、設立後の運営費を確保しておかないといけないことには変わりありません。
設立手数料が安い
一般社団法人の設立の際にかかる法定費用は約11万円です。(定款認証手数料5万円、登録免許税6万円)
一方、株式会社設立時の法定費用は約20万円ほどです。(定款認証手数料3〜5万円、登録免許税15万円〜)
合同会社の場合は定款認証は不要ですので、登録免許税の6万円〜となります。
一般社団法人は合同会社よりは高いですが、設立手数料は安いほうだといえるでしょう。
ただし、最近は創業支援制度により、株式会社や合同会社の登録免許税が半額又は全額免除となったりしますので、この点はあまりメリットとはいえなくなっています。
税金面の優遇
一般社団法人には『非課税型』という税制上の区分があり、非課税型の要件を満たせば、収益事業以外の収入を非課税とすることができます。
ただし、収益事業での収入は課税されますので注意が必要です。
実際にはほとんどの事業が収益事業に該当しますので、寄付金や会費ぐらいしか非課税対象とはなりません。
(会費も対価が発生する場合は、収益事業となりえます。)
ですので「事業を開始するのに株式会社を作ろうと思ったけど、非課税になるなら一般社団法人にしよう」という考えは、あまり意味がないということになります。
公益性というイメージがある
一般社団法人を設立する最大のメリットはこの点ではないかと思います。
一般社団法人には公益性があるというイメージを持っている人は多いと思います。
例えば、特定のスポーツを発展・普及させるために「一般社団法人〇〇スポーツ協会」という法人を立ち上げた場合を考えてみましょう。
大会の主催者に「一般社団法人」という名称がついていれば特に違和感はありませんが、「株式会社〇〇スポーツ協会」という主催者だとどうでしょう。
「何かお金を余計に取られたり、営業を受けたりするんじゃないだろうか」という無駄な不安を与える可能性もあります。
ですので公益性の高い事業を行う場合は、「一般社団法人」の方が、株式会社や合同会社より適していると思ってよいでしょう。
一方で、収益事業をメインで行いたい場合は、株式会社や合同会社を選択するべきです。
先ほどあげたメリット(資本金・設立費用・非課税型)も、あまり大きなメリットではありません。
事業目的によって「一般社団法人」か「株式会社や合同会社」を選ぶべきでしょう。
しかし、事業目的の公益性が高い場合は、NPO法人も設立候補となってくると思います。
すので、次はNPO法人に対してのメリットを見ていきましょう。
NPO法人に対するメリット
事業内容に制限がない
一般社団法人は事業内容に関して、特に制限はありません。
法律に反しない真っ当なことであれば、どんな事業をしてもかまいません。
これは株式会社・合同会社と同じです。
一方、NPO法人の場合は活動分野に制限があり、決められた20分野での活動が求められています。
それ以外の事業は、その分野での活動に支障がない範囲でしか行えませんので、何でも自由に活動できるわけではありません。
ですので、一般社団法人はNPO法人に比べて事業内容に制限がないといえます。
行政への報告義務がない
NPO法人の場合は、設立後も所轄庁に事業内容等の報告義務があります。
その点、一般社団法人の場合はそのような報告義務はありません。
株式会社等と同じく、税務申告や変更登記等を行っていればよいので、NPO法人に比べて運営はしやすいといえます。
少人数で設立が可能
一般社団法人は2名以上で設立が可能となります。
株式会社や合同会社は1名以上で設立できますので、ややハードルが高いと思われるかもしれませんが、NPO法人の場合は10名以上必要となります。
NPO法人と比べれば、かなり少人数で設立が可能ということになります。
また、NPO法人設立には所轄庁の認証が必要で、設立の手間が多くなります。
設立期間も半年ほどは見ておく必要があるので、一般社団法人の設立のしやすさはメリットといえます。
非法人(任意団体)に対するメリット
それでは、任意団体などの非法人に対して、どのようなメリットがあるかを見ていきます。
そもそも「法人化する必要があるのか?」という視点になります。
(任意団体とは、法人ではない普通の団体とお考えください。例:〇〇スポーツクラブ等。)
法人名義で活動できる
法人化することで、様々なことが法人名義でできるようになります。
法人化していない団体は、団体自体に人格が認められていませんので、銀行口座などは個人名義となります。
その他不動産等の契約関係も個人名義となりますが、法人化すれば、それらを法人名義で行うことができます。
また、法人化することで、社会的に信用力を得ることができます。
他企業と連携して事業を行う際も法人の方が信用されますので、事業展開する際も有利になるといえるでしょう。
相続問題に対処しやすい
任意団体の場合は先述したように、銀行口座や不動産契約は個人名義となります。
もし、その個人が亡くなったり、重い病気になった際は、団体の契約や財産をどうするのかという問題が発生します。
その点、法人化しておけば、財産等は法人のものですので、相続問題にも対処しやすいという特徴もあります。
また、財産を法人のものとしておくことで、個人による団体の私物化を防ぐこともできるでしょう。
一般社団法人のデメリット
それでは一般社団法人のデメリットについて見ていきましょう。
ここでも先ほどと同様に、株式会社等と比較していきます。
『株式会社と合同会社』に対してですが、以下のようなデメリットがあります。
- 余剰利益が分配できない
- 普通型であれば変わらない
- 融資で不利になる可能性
- 上場できない
次に『NPO法人』に対してですが、以下のようなデメリットがあります。
- 設立時の法定費用
最後に『非法人(任意団体)』に対してですが、以下のようなデメリットがあります。
- 税務申告等の事務処理が大変になる
- 変更登記が必要になる
株式会社、合同会社に対するデメリット
余剰利益が分配できない
一般社団法人は、余剰利益の分配ができません。
「どういう意味?」と思うかもしれませんが、一年終わって出た余剰利益を、労働の対価とは別に分配できないということです。
株式会社でいうところの株主への配当が行えないというイメージで良いかと思います。
「今年はいっぱい利益が出たから、給与とボーナスとは別にお金を配るよ!」ということができません。
ただし、一般社団法人でも、労働の対価として普通に給与やボーナスを支給することは可能です。
また、株式会社の場合でも配当すると税務上不利になることが多いので、大きな会社でない限り配当という形はあまり取りません。
株式会社でも余剰利益は事業発展のために使用することが多いですし、利益が大きく出ても、労働の対価としての給与は少しずつ上がっていくのが普通でしょう。
その点は一般社団法人でも変わらないと思っていいでしょう。
ですので、この点に関してはそれほど大きなデメリットでは無いともいえます。
なお、余剰利益の分配ができないことをもって、一般社団法人のことを『非営利法人』といいます。
普通型であれば変わらない
一般社団法人の税の区分には『非営利型』と『普通型』という2つのパターンがあります。
『非営利型』の条件を満たした場合は、収益事業以外の収入に関しては非課税とすることができます。
ただし『普通型』となった場合は、税制上の利点は無く、株式会社・合同会社となんら変わらないということになります。
また、『非営利型』でも非課税となるのは寄付や会費ぐらいです。
その他のデメリットを考慮すると、利益を追い求める事業を展開する場合は、一般社団法人にする意味はあまり無いかもしれません。
融資で不利になる可能性
一般社団法人は、株式会社等と比べて融資を受けにくくなる可能性があります。
法人の性質上、どうしても利益を求めるというよりは公益性を重視するイメージがあり、収益性が低いと判断されるケースが多いからです。
一般社団法人が利用できる融資制度も限定的ですので、融資前提という計画は立てない方が良いかもしれません。
ただし福祉事業であれば融資制度の対象となりえますので、制度を事前に確認しておくと良いでしょう。
上場できない
一般社団法人は株式会社のように上場することはできません。
ただ、株式会社の場合でも上場を目標とするのは大きな会社となってきますので、そもそも上場を志すような会社であれば一般社団法人は設立候補とはならないかと思います。
そういった視点でいくと、あまりデメリットではないと思います。
NPO法人に対するデメリット
設立時の法定費用
一般社団法人は設立時の法定費用が11万円ほどかかりますが、NPO法人の場合は設立時の法定費用はありません。
この点はデメリットといえます。
ただし、専門家に設立支援を依頼した場合は、一般社団法人の報酬相場は10万円〜に対し、NPO法人の場合は20万円〜といったところです。
自分で設立する場合は費用的にはデメリットとなりますが、専門家に依頼した場合はデメリットとは言えなくなるでしょう。
非法人(任意団体)に対するデメリット
税務申告等の事務処理が大変になる
税務申告に関しては法人化しなくても必要になりますが、法人の確定申告は非常に複雑になります。
高額な申告ソフトを導入したり、税理士に依頼するなど、コストや手間がかかってきますので注意が必要です。
その他にも社員総会を開催し議事録を作成したり、公告をしたりと事務作業が増えますので、運営コストは高くなってしまいます。
変更登記が必要になる
法人の登記事項に変更があった場合は、その都度変更登記が必要となります。
その中でも定期的に行わなければいけないのが、役員の再任登記です。
一般社団法人の理事の任期は最長で2年と定められており、同じ人が継続して理事をする場合も再任の登記をする必要があります。
再任の登記には手数料が通常1万円かかりますので、2年ごとに最低1万円がかかるということになります。
まとめ
以上、一般社団法人のメリット・デメリットについて解説しました。
メリット・デメリットは、自分が何をしたいかによって変わってきますので、自分の目的を十分に把握した上で検討されると良いでしょう。
当事務所では福岡県にて一般社団法人設立のサポートをしております。
お気軽にご相談ください。
➡︎『一般社団法人設立 代行』
