従業員数に気をつけましょう

事業再構築補助金では『従業員数』によって一部規制が設けられています。
例えば『補助金上限額』は従業員数によって変化します。

従業員数』に関して適切な知識を持っておかないと、事業再構築補助金を適切に活用することはできません。

2023年4月時点(第10回公募)での情報となりますので、正確な情報は公募回ごとに確認するようにしましょう。

従業員の定義

まず、事業再構築補助金における『従業員』とは何でしょうか?
(補助金ごとに従業員の定義は違いますので、注意しましょう。)

事業再構築補助金では『中小企業基本法上の「常時使用する従業員」』を従業員としています。
これは『労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」』ということになります。
この解説だけでは難しいですので、少し例を挙げていきます。
この定義に当てはめると、例えば下記の者は従業員とはなりません。

  • 会社役員
  • 個人事業主

ということで、正社員はもちろん従業員ですが、役員や個人事業主は従業員ではないと判断できます。
判断が難しいのはパート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員、出向者です。
上記の者の場合は

  • 日日雇い入れられる者
  • 2箇月以内の期間を定めて使用される者
  • 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
  • 試の使用期間中の者

の場合には『従業員ではない』と判断されます。
判断に困るような微妙な時は、事前に事務局に問い合わせてみるとよいでしょう。
下記は労働基準法の引用になります。

(解雇の予告)
第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2  前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3  前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

第21条     前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。

但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
 一  日日雇い入れられる者
 二  2箇月以内の期間を定めて使用される者
 三  季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
 四  試の使用期間中の者

労働基準法(昭和22年法律第49号)より

いつの時点の従業員数か?

それでは、従業員数は『いつの時点の従業員数』で判断したらよいのでしょうか?
ずっと同じ従業員数であれば判断は簡単ですが、従業員数はよく変動するものです。
判断する時点は

原則公募開始時

となっています。
ですので、応募しようとしている公募回の公募開始時点での従業員数で判断することとなります。

また『補助金を受け取るため』に『一時的に従業員を増やしたり減らしたり』することは、補助対象外となる行為ですので気をつけましょう。

申請直前に減ってしまった場合

それでは、例えば「成長枠」に申請する場合に、公募開始時には『21人』だった従業員数が、申請時に『20名』となっていた場合はどうなるでしょうか?
21人か20人かでは『補助上限額』が変わってしまいますので、場合によっては大きな問題となります。

その場合は『20人』で申請することになります。
なぜなら、申請には『労働者名簿の写し』を提出するからです。
この『労働者名簿の写し』は当然に最新の名簿の提出が必要となるでしょうから、申請直前の減った場合は、その減った人数でしか申請できないという認識でいるべきでしょう。

採択後〜交付決定前に減ってしまった場合

次に、採択された後で、まだ『交付決定を受けていない状況で従業員数が減ってしまった場合』はどうなるでしょうか?
この場合の取り扱いに関しては、事務局に問い合わせて確認してみました。
その結果

交付決定前であれば、補助金額が確定する前ですので、従業員が減ったことにより、補助上限額が変わる可能性があります。」

とのことでした。
あくまで『可能性』という言い方でしたので、取り扱い方針が決定していないようでしたが、一応このような認識でいた方がよいかと思います。

交付決定以降

次に『交付決定以降に従業員数が減った場合』についての取り扱いです。
この場合においても事務局に問い合わせたところ

交付決定において補助金の額は一旦決定していますので、その後に従業員数が減ったとしても、補助金額は変わらないものと思います。ただし、その事象が発生した場合には一度事務局に連絡をしていただければと思います。

とのことでした。
こちらも取り扱い方法が決定はされていないようでしたが、一応補助金額は変わらないという認識で大丈夫そうでした。
しかし、事務局に報告して相談は受けた方が良いとのことです。

また、ものづくり補助金の場合は、補助金受領するまでは従業員の変更が影響しますので、事業再構築補助金の場合も同じ取り扱いになる可能性もあります。
今回の事務局からの返答は、あくまで参考程度に捉えて、ご自身がそのような状況になった時は早めに事務局に相談することをお勧めいたします

最低賃金枠の従業員数

最低賃金枠では、『2021 年 10 月から 2022 年 8 月までの間で、3 か月以上最低賃金+30 円以内で雇用している従業員が全従業員数の 10%以上いること』が要件のひとつとなっています。(第10回公募時点)

全従業員の10%を計算する場合は、計算結果の小数点以下を『繰上げる』ことに気をつけましょう。

例:
全従業員35人×10 %=3.5人
小数点以下を繰り上げるので、この場合は4人となり、4人以上が3 か月以上最低賃金+30 円以内で雇用されている必要があります。

大規模賃金引上促進枠の従業員増員要件

大規模賃金引上促進枠では、『補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年率平均 1.5%以上増員させること』が要件のひとつとなっています。【従業員増員要件】(第10回公募時点)

増員する期間

従業員を増員する期間は

基準期間:
補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度の『前年度の終了時点

増員期間:
補助事業計画期間終了までに

となっています。
ただし、基準となる従業員数が『申請時点の従業員数を下回る場合』には『申請時点の従業員数が基準』となります。

計算方法

年率平均 1.5%以上増員とはどのように計算するのでしょう。
年率平均ですので、計画期間が3年の場合は[1.5%×3年]で4.5%となります。
計画期間が5年の場合は[1.5%×3年]で7.5%となります。

また、注意点が2点ありまして、
①計算結果の小数点以下は繰上げる
②計画期間×1人以上の増員が最低必要

となります。
②に関しては、3年の計画期間であれば最低3人。
5年の計画期間であれば最低5人は増員が必要という意味です。
下記に例をあげてみます。

例1:(計画期間が3年の場合)
従業員数30人×4.5%(年率平均1.5%×3年)=1.35人
小数点繰上げで2人。
計画期間が3年なので、最低人数の3人に達していないので、増員は3人以上必要。

例2:(計画期間が5年の場合)
従業員数100人×7.5%(年率平均1.5%×3年)=7.5人
小数点繰上げで8人。
計画期間が5年なので、最低人数の5人を上回り、増員は8人以上必要。

ということになります。

まとめ

以上、事業再構築補助金の従業員数について解説しました。
従業員数は常に変化するものですが、従業員数によってもらえる補助金額が変わってしまう可能性もあります。

従業員数には十分に注意して、申請をしましょう。

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