事業再構築補助金第10回公募要領

2023年3月30日に事業再構築補助金第10回の公募要領が公表されました。
第9回までとはかなり内容が違いますので、戸惑った方も多いのではないでしょうか。(私もその1人ですが・・・。)

そこで、今回はその内容を『ざっくりと分かりやすく』解説してみたいと思います。
あくまで概要を捉えるという感じで読んでいただければと思います。

申請枠

まずは申請枠を把握する事から始めてみましょう。
事業再構築補助金第10回の申請枠は

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー)
  • グリーン成長枠(スタンダード)
  • 卒業促進枠
  • 大規模賃金引上促進枠
  • 産業構造転換枠
  • サプライチェーン強靱化枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠

と、なんと9つもあります。
9つもの枠をそれぞれ把握するのは大変ですので、まずは『グリーン成長枠を1つにまとめましょう』。

そして「卒業促進枠と大規模賃金引上促進枠」は「成長枠とグリーン成長枠」の『上乗せ支援』なので、思い切って消してしまいます。

また、「産業構造転換枠」は「成長枠」と似ている所があるので、順番を少し入れ替えます。
すると下記のようになります。

  • 成長枠
  • 産業構造転換枠
  • グリーン成長枠
  • サプライチェーン強靱化枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠

これで少しスッキリしてきました。
まず、解説するのは「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」です。

「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」

この2つの枠は、第9回までの事業再構築補助金の主な枠を引き継いだものとして捉えてよいかと思います。

売上減少要件』が必要だったり、『事前着手制度』があったり、事業再構築補助金の大きな特徴をそのまま引き継いでいるようです。
この2つに関しては、理解しやすいと思います。

グリーン成長枠

次にグリーン成長枠ですが、これも第9回までに存在した枠となります。
『売上減少要件』や『事前着手制度』がないのですが、グリーン成長要件(グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組であって、その取組に関連する1(2)年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行うこと)を満たす必要があるので、第9回までは比較的『特殊な枠』というイメージでした。

従来型と特殊型

このページでは理解しやすいように、「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」を『従来型』。
「グリーン成長枠」を『特殊型』と呼ばせてもらいます。(今回説明するにあたり使用する造語です。他で使用しても通じませんので、ご注意ください。)

従来型は『売上減少要件』や『事前着手制度』があるタイプで、特殊型は『売上減少要件』や『事前着手制度』がないタイプ、とご認識ください。

それでは事業再構築補助金第10回の申請枠を、この2つに分類してみます。

従来型

最低賃金枠

物価高騰対策・回復再生応援枠

特殊型

成長枠

産業構造転換枠

グリーン成長枠

サプライチェーン強靱化枠

となります。
第10回からは特殊型が増えたために、「なんだか複雑になったなー」と感じるのではないでしょうか?
それでは残りの特殊型を簡単に説明しておきます。

「成長枠」と「産業構造転換枠」

この2つの枠は、構造が対になるのでまとめて説明します。

成長枠は『取り組む事業が、過去~今後のいずれか 10年間で、市場規模が 10%以上拡大する業種・業態に属していること』が要件となっています。

産業構造転換枠は『現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が 10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態から別の業種・業態に転換すること』が要件となっています。

新しい事業が拡大業種』なのか、『既存事業が縮小業種』なのかという違いで認識していただいて良いかと思います。

拡大や縮小の判断は、事務局から業種一覧が公表されていますので、その業種に当てはまれば要件を満たします。
また、一覧に記載がなくても、要件を証明するデータを提出できれば申請は可能なようです。

サプライチェーン強靱化枠

最後にサプライチェーン強靱化枠ですが、この枠は一番特殊で公募要領も別に用意されています。
要件は複雑ですが、簡単にいうと『海外生産していたものを国内生産に切り替える』といった事が必要な枠です。
かなり大規模な事業計画となるかと思います。

その他注意点

その他として、事業再構築補助金第10回の公募要領における、特に目立った注意事項を挙げておきます。

事前着手制度

事前着手制度は第10回も引き続きありますが、先述している通り「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」のみ適用となります。
その他の申請枠は交付決定後にしか着手ができませんので、ご注意ください。

また事前着手時期は、令和 4年12 月 2 日以降に購入契約(発注)等となっています。

給与総額増加要件

第9回まではなかった要件で『給与総額増加要件』というものが、要件となっています。(成長枠とグリーン成長枠のみ)

給与総額増加要件とは『事業終了後 3~5 年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること』という要件で、正当な理由なく達成できなかった事業者は事業者名を公表すると記載されています。
※概要版には差額分(補助率1/6分)の返還を求めるとの記載もあるので、注意が必要です。

説明会への参加

申請前と採択後に説明会に参加するように記載がされています。
特に採択後の説明会に関しては、『参加しなければ交付申請を受け付けない』とされていますので注意が必要です。

まとめ

以上、事業再構築補助金第10回の公募に関して、ざっくりと解説してみました。
それぞれの枠の補助率等に関してはまた追って説明したいと思います。
第9回までとは大きく異なる内容となっていますので、十分に注意して申請を検討いたしましょう。

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