結論

補助金申請における書類作成は行政書士しかできないのか?
という問題に対して結論としては下記のようになると考えていただいて良いと思います。

  • 行政書士  ➡️相談、助言、作成が可能
  • 行政書士以外➡️相談、助言が可能

つまり、書類の作成に関しては行政書士のみができるということになります。

このページでの補助金とは「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」のことを想定しております。

そもそも行政書士とは?

そもそも行政書士とはどのような資格なのでしょうか?
きっちり説明すると難しくなってしまいますので、ここではイメージしやすい様にざっくりとした言葉で表現します。

行政書士とは報酬を受けて、官公署に提出する書類を作成することができる資格です。

※官公署とは国や地方公共団体の組織のことです。

つまり、官公署に提出する書類を報酬を受けて作成するには資格が必要だということです。(ご存じなかった方も多いかもしれません)

※無報酬であれば作成は可能です。(例えば家族の提出書類を作成する等)
※他の業務で報酬を受けて、書類作成部分のみを無償にすることは脱法行為となります。(例えば事業計画書作成相談で報酬を受けて、書類作成は無償で行うという建前)

ですが、行政書士といえども全ての官公署に提出する書類を作成できるわけではありません。
他の士業(税理士、司法書士、社労士等)の独占業務と定められているものは、行政書士も作成不可となっております。(例えば税務署への税務申告は税理士、厚労省提出書類は社労士等)

以上がざっくりとした行政書士資格についての説明となります。具体的にどんな業務ができるかは細かい規定や業際問題がありますので、あくまでイメージを掴む参考程度にお考えください。
下記は上記の事を定めた行政書士法の抜粋となります。

(業務)
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

(業務の制限)
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
2 総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 行政書士となる資格を有しない者で、日本行政書士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして行政書士名簿に登録させたもの
二 第十九条第一項の規定に違反した者

行政書士法(令和元年法律第七十一号による改正)

補助金申請書類の作成は行政書士の独占業務範囲?

それでは補助金申請における書類作成は、行政書士の業務範囲となるのでしょうか?
補助金は種類ごとに管轄が違いますが、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」は経済産業省所管であり、他の士業の独占業務と規定されていませんので、行政書士の独占業務範囲であるといえるでしょう

※厚生労働省が管轄する、いわゆる「助成金」は社会保険労務士の独占業務であり、行政書士による書類作成はできません。
※弁護士も補助金申請の書類作成は可能だと考えられますが、補助金申請を専門にしている弁護士はあまりいないかと思います。

※いくつかのサイトに「助成金は社労士の独占業務だが、補助金申請は資格は必要ない」との記載がありますが、いずれも行政書士法への理解が足りてないのではないかと思いますので、鵜呑みにはご注意ください。

※ただし労働者名簿や賃金台帳が提出書類となっている場合、これらの書類作成は社会保険労務士の独占業務であるため、行政書士は作成することはできません。

ただし独占業務範囲と言いましても、「書類の作成」においてであり、「相談・助言」は資格がなくても誰でも可能です。
また、電子申請における入力作業においては、代行はできず申請者本人がしなければいけません。

この点につきましては、『総務省の公式見解』が出されておりますので、一部抜粋いたします。

5.確認の求めに対する回答の内容
(1)
照会書に記載された事業活動を前提とした場合、照会者が実施しようとする経営革新計画等の申請や補助金申請に対するサービスは、サービス利用者が作成した申請書類について一般的な改善案を提示するなど、法第1条の3第1項第4号における「相談」の範疇となる行為である限りにおいては、法第1条の2第1項に規定する「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類……その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成」することには、当たらない

新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表 令和4年2月16日回答

少し分かりにくいと思いますが、行政書士でない人も「相談の範疇になる行為」であれば、行政書士法第1条の2第1項の「書類の作成」に当たらないということです。
つまり行政書士以外は『相談であれば良いが、作成になると駄目』だということです。

まとめ

まとめますと、有償支援の場合

  • 申請書類の作成➡️行政書士のみ
  • 申請書類への相談・助言➡️誰でも可能
  • 電子申請の入力➡️本人のみ

ということになります。
行政書士以外では、相談・助言の範疇のみのサポートなりますが、行政書士に依頼すれば、書類作成も可能ですので、より手厚いサポートが可能となります。

この問題は複雑で複数の見解があると思われますが、行政書士の立場としてはこのような見解となります。

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