目次
事業計画書はどういった流れで作成していくのか
今回は補助金の事業計画書をどういった流れで作成していくのかを、解説していこうと思います。
「さあ、事業計画書を書くぞ」
と思っても、書いたことがなければ、何から始めて、どう進めていけばいいのか分からないと思います。
そこで実際の作成の流れの一例を解説してみますので、ご参考にされてみてください。(2023年10月時点の情報となります。)
今回は「小規模事業者持続化補助金」をベースに想定して解説します。
「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」にも応用できると思いますが、この2つはレベルの高い事業計画書を求められますので、事業計画書を作成したことがない方には、かなりハードルの高い補助金となっております。
初めての方は、まずは「小規模事業者持続化補助金」を想定してチャレンジしてみると良いでしょう。
最初にやること
補助金の事業計画書を作成する時に、最初にやることは「やりたい事はなにか?」の確認です。
持続化補助金でいえば、「販路開拓」となる事業計画を求められる補助金ですので、例えば
・生産性向上に繋がる機械の導入
・新規事業に必要な改装工事
・宣伝のためのホームページ作成
といったことを、「やりたい」と思って補助金申請を検討するはずです。
やりたいことは決まっていないが、補助金に申請して、販路拡大したいという人もいるかもしれません。その場合は、後述するSWOT分析から始めてみてください。
この時点では、「やりたいこと」が正確に決まっていなくても大丈夫です。
なんとなく「こういうことがやりたい」でもいいでしょう。
(例えば、美容室が脱毛サービスを始めたいなど)
持続化補助金では「やりたいこと」が、販路開拓に繋がることでないといけません。(他の補助金であれば、それぞれの申請要件に当てはまる必要があります。)
販路開拓とは、事業計画をすることにより収益力が向上するといったイメージです。
そのためには「新たなサービス」や「新たなターゲット」、「新たな提供方法」などを盛り込んだ計画とする必要があります。(全て満たす必要はないですが)
該当しない例としては、「既存の機械が壊れそうだから、同等性能のものを購入する」といったものになります。
事業計画書の構成を確認する
やりたいことが、大まかに決まったら、次は事業計画書の構成を確認しましょう。
細かい構成はとりあえず置いておき、大まかな構成を把握します。
持続化補助金では事業計画書の簡易的なフォーマットが用意されています。
それを確認してみると
①現在の状況
②事業計画の内容
③事業計画の成果
という3部構成になっています。
フォーマットの目次を見ると、必ずしもこの構成に綺麗に分かれてはいませんが、補助金の事業計画書は基本的に、この「3部構造」になっていると考えてよいでしょう。
(目次が綺麗に分かれていないので、分かりにくくなっていますが、この3部構造を意識しておく必要があります。)
まずは、「現在の事業内容を説明」して、次に「今回取り組む事業計画の内容」を記載し、最後に「事業計画を行うことで、どんな成果が出るか」を示します。
この段階では、「そんな感じなんだ」ぐらいの認識でよいかと思います。
SWOT分析を行う
次に「SWOT分析」を行います。
ここから少し難しくなってきます。
SWOT分析に関しては、こちらのページでも解説しています。
→『SWOT分析をして事業計画書を作成しましょう』
SWOT分析を行い、「やろうと思っていること」が「自分の強みを活かしているか」「市場の機会(チャンス)を捉えているか」を確認します。
強みを活かしているか
「強みを活かしているか」とは、例えば
・以前の経歴を活かしている
・その分野に関して知識が豊富
などですが、そういった事が全くないというケースもあるかもしれません。
しかし、頑張って探せば「強み」は見つかるものです。
何とかして、「事業計画」と「自分の強み」が結びつくことを考え抜いてください。
もし、事業計画に繋がる強みがひとつもない場合は、『事業が失敗しそうだ』と審査される可能性があります。
例えば、美容室が脱毛サービスを開始するとして、脱毛に関する知識もノウハウも強みが何もないとします。
それなのに『なぜ貴方の事業計画はライバルより成功するのでしょうか?』と思われるのです。
その『成功する理由』のひとつとして、『自分の強み』との関連を示し、計画書に説得力を持たせる必要があります。
市場の機会(チャンス)を捉えているか
「市場の機会を捉えているか」も大切な要素です。
市場の機会とは、分かりやすくいうと『人々から求められている事業か?』ということです。
例えば、コロナ禍であれば「マスクの需要が高まった」「テイクアウトの需要が高まった」といったことです。
ですので、コロナ禍であれば『テイクアウト事業を開始する』ことは、市場の機会を捉えているといえます。
逆に『バーをオープンさせる』ことは、市場の機会を捉えていないといえます。
問題は、『データ』で市場の機会を示せるかどうかです。
「脱毛が流行っている」という肌感覚を持っていても、『実際に流行っているという調査データ』がなければ、補助金の審査では説得力がありません。
インターネットやメディアや書籍からデータを探し出す必要があるのです。
しかし、ニッチ産業であればデータが見つからないことも良くあります。
その場合は、自分で複数人にアンケートを取ってみたり、同業者にヒアリングを行うなどして、少しでも『客観的なデータ』を集めます。
どうしても客観的なデータが集まらない場合は、強みと同じく、審査で不利な印象を与えてしまいます。
強みも機会もない事業計画だとしたら、計画を1から考え直すというのも、ひとつの手です。
経費と利益を簡易的に確認
事業計画の内容をSWOT分析して、特に問題がないことが分かったら、次は『経費と利益を簡易的に確認』してみます。
いくら強みと機会に問題がなくても、『収益性』がない事業であれば、補助金の審査には通りませんし、やる意味も乏しいです。
正確な収益性を把握することは難しいですので、ここでは『簡易的』に試算してみます。
まず『事業計画を行うのにいくらぐらいの投資が必要か』を確認します。
そして『どれくらい売上が増加し、経費はどれぐらい増えるか』を試算します。
例えば、
・200万円の脱毛器を購入。
・脱毛サービスを3,000円で提供し、1日あたり3人が利用し、1ヶ月(24日)で216,000円(月)の売上高と試算。
・脱毛サービスには原価はなく、電気代も微々たるものとして、必要経費は特にないとする。
そうすると、約10ヶ月ほどで脱毛器代を回収することができます。(ここでは補助金の支給額は試算に入れません。)
補助金の計画では3年〜5年ほどで成果が出ればよいですので、かなりいい計画のように見えます。
しかも、1日あたり平均3人ぐらいであれば、無理のない数字にも感じられます。
しかし、経費で注意しなければいけないのは『人件費』です。
新しく脱毛サービスを行うのですから、新たな『人件費』が必要になるのではないかと普通は思います。
(新たな人材雇用が必要ない場合は、その理由を計画書の中で示しておく必要があります。)
それでは新たな雇用を行い、『人件費』が月20万円増えるとします。
すると月の利益は16,000円となり、脱毛器代の回収に125ヶ月(約10年)もかかることになります。
そんな計画では審査も通りませんし、事業をやる意味もないですので、計画上で売上を増やさなければいけません。
1日の利用者を5人とすれば、人件費がかかっても、脱毛器の回収は1年ほどとなります。(計算式は省略)
しかし、今度は『1日平均5人を達成できるか?』という問題が発生します。
もし、この時点で肌感覚として『無理そうだな』と思えば、事業計画を1から考え直す必要があります(中止を含め)。
『5人くらいならいけそう』と思えば、事業計画書の中で、達成できる根拠を示していくことになります。
このように、簡易的に試算を行い『事業に収益性があるか』の簡易チェックを行なっておきます。
無理そうであれば、計画を一旦白紙に戻した方がよいでしょう。
目次(項目)を作る
次に事業計画書の『目次』をある程度作ってみましょう。
この作業は、このページで紹介する作業の中で一番大変になるかと思います。
しかし、『いい目次』を作ることは『いい構成』を作ることになりますので、とても大切です。
また、目次を作ることで事業計画の『ストーリー』を把握しやすくなります。
目次は最初から完璧である必要はありません。
『ある程度こんな感じ』で、とりあえず作ってみましょう。
作り方のコツは『様々な事業計画書の記載例を参考にする』ことです。
持続化補助金の場合は、事業計画書の記載例を沢山入手することが可能です。
公式サイトにもサンプルがありますし、ネット上にもあります。
それら、記載例を集めて『目次を書き出す』という作業を行なってみます。
例えば公式サイトのサンプルのひとつは
・企業概要
・売上状況
・立地場所
・業務状況
・市場の動向
・顧客のニーズ
・競合の状況
・自社の強み
・経営方針
・今後のプラン
・事業名
・具体的な取組内容
・事業の効果
といった感じでした。(はっきりと目次がない項目もありますが、何となくで拾っていきます。)
こうした作業をしていくと、『必ずある目次』と『あったりなかったりする目次』が分かってきます。
『必ずある目次』は当然『採用』するわけですが、問題は『あったりなかったりする目次』です。
これらを入れるかは難しい判断になりますが、多くの事業計画書を見ていくと『この目次があった方がいいな』と感じることが段々できるようになってきます。
もしくは『自分はこれは入れたい』と思うものを入れていきます。
この時点で正解を出す必要はありませんので、大雑把にまずは目次を作ってみます。
項目を埋めていく
目次(項目)が一応できたら、今度はそれぞれを埋めていきます。
まず簡単な『事業概要』などからやってみましょう。
埋められる箇所から埋めていくと良いでしょう。
そうすると、どうしても『記載が難しい項目』が出てきます。
その記載が難しい項目が、『あったりなかったりする目次』である場合は、消すことを検討してもよいでしょう。
逆に書いていくうちに、『追加で入れたい項目』も出てきたりします。
そのようにして、目次は柔軟に入れたり削除したりして書いていきましょう。(『必ずある目次』は消さないようにしましょう。)
コツとしては『最初から完璧を目指さない』という点です。
とりあえず仮の文章を書いてもいいですし、少しずつブラッシュアップさせる意識で書くと、作業も捗るかと思います。
まとめ
以上、補助金の事業計画書を書く流れについて解説してみました。
これはほんの一例ですが、参考になれば幸いです。
ひとつ言えるのは、効率的な方法で作成をしても、大変であることは変わらないという点です。
また、苦労して作成した事業計画ほど、ご自身の力になるかと思います。
特に、初めて事業計画書を作成する場合は、かなり苦労するでしょう。
当事務所では認定支援機関として、事業計画書の作成支援も行なっております。
お気軽にご相談ください。
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